Chem. Eur. Jに論文掲載

昨年度末で卒業生した藤居博士が行った「光学活性DMAP誘導体を用いるベンゾフラノン類のアシル基転位反応」の論文がChem. Eur. J.に掲載されました.この論文は2016年にNature Communication(オープンアクセス)に出したオキシインドール類のアシル基転位反応の続報となります.

本論文の新しい知見は

1.触媒量を0.05 mol %に下げても5時間で反応が完結する素晴らしい触媒活性を有していること.そして非常に高いTOF(3,640 h-1) を叩き出すこと(Table 1, entry 6).

2.わずか19.2 mgの触媒で10 gスケールの反応を円滑に進行させること(>98% yield, >99:1 er)

3.広い基質一般性を有していること.15基質のうち14基質で定量的かつ>95:5 erで目的物が得られる(Figure 2).

4.コントロール実験により,触媒にある第三級アルコール部位が1つでもあれば触媒活性とエナンチオ選択性は担保されること(Scheme 1)

5.エネルギーの低い遷移状態TS-Iでは,触媒のヒドロキシ基オルトCHの2つが水素結合を通して求核剤を活性化していること(岩手大学・是永先生との共同研究)

6.位置選択的なアシル基の転位反応(フラノン)について,通常のDMAPではなし得ないγ選択的な転位反応が高エナンチオ選択的に進行すること(81% yield, 95:5 er). などです.

 

本研究で一番苦労したところは,いわずもがな基質合成です.こういった基質(特にフラノン)はほとんど報告例がなく,藤居くんがいろいろと試行錯誤してくれました.その苦労の足跡はSupporting Infomationにおさめてありますのでぜひご覧ください.